3月の記事で宣言したとおり、この夏はヨットにデビューする。その第一歩として、今日は都立のヨット教習施設である
若洲ヨット訓練所にて初心者向けの講習を受けてきた。一日7000円、場所は荒川を挟んで葛西のすぐ横にある江東区若洲。自宅から道のりにして約8キロ。せっかく近所にこういう施設があるのだから、最大限に活用しないともったいない。海沿いの町に住んでいるメリットをフルに享受しよう。
全くの初めてさんを対象にしているこのクラス、午前中は主に学科講義とシミュレーション。基本的な用語、ロープの結び方や方向転換の際の基本動作などを一通り陸上で学び、昼食後にいよいよ海に出る。とは言っても、初日の今日は訓練所の目の前にある運河のようなところでの練習だ。受講生は20名ほどで、A・Bの2班に分かれ、海上練習と陸上シミュレーション練習を30分ずつ交互に繰り返すというスケジュール。海に出る班は講習生が二人一組になり、それに先生が一人ついて、3人で一隻のディンギーに乗り込む。
私はA班に割り当てられたので、14時ちょっと前頃に最初のグループで乗船。訓練所の前のスロープから離岸し、3月以来5ヶ月ぶりのディンギーに乗り込む。しかし、船出したはいいものの、全く風がない。これほど全く風がないのは珍しいね〜と先生も言っている。当然ではあるが、動力のついていないヨットは風がないと進まない(そんな時に漕ぐためのオールは一応積んでいる)。座っているだけで汗が滴ってくるような蒸し暑さの中、潮の流れにまかせっきりのプランクトンのような状態で海面上をただ浮遊する。
20分ほど海上をさすらっていると、西の空が急激に暗くなってきた。雨もポツポツと降り始める。隣のエリアにある葛西臨海公園で、「雷雨がきますから建物の中に入ってください」と場内放送をしている声が聞こえる。
それと同時に、待ちに待った風が少し吹き始める。二枚の帆がきれいな形にふくらんで、船が前に進む。実際は大したスピードは出ていないのだが、ヨットが走り出すこの瞬間の躍動感、爽快感は何ともいえない心地よいものだった。北東の風を受けながらブイを何度かまわり、陸上練習の海上での実践を試みる。
しかし、雨がさらに強まってくると、練習を監視しているレスキュー艇から「桟橋ー!」という放送が入る。そこで訓練は中止してヨットを桟橋に接岸して係留。風が吹き始めてからまだ10分ほどなのに、この頃にはもう土砂降りの雨と風。強風の中でセールを畳むため、先生がずぶ濡れになりながら色々なロープと格闘している。それをただ呆然と見守る私たち講習生。あ〜、今日は講習でホントよかった、と思った瞬間だ。
陸に上がってテントの下に入っても、雨と風は止むどころか勢いを増すばかり。雷はかなり近くで鳴り続けているし、ヨットはおろか外にいること自体が危険な状態になってきた。あれほど静かだった海も風と雨粒と波で荒れに荒れており、桟橋につないだヨットが木の葉のように揺れている。この状況を受け、ここで本日の講習は打ち切りとの宣言。今日は陸上練習半日+プランクトン状態20分+帆走10分で終わりとなってしまった。ただ、B班に割り当てられた人は陸上練習のみで船に乗ることすらできなかったのだから、まだ自分は幸運に感謝すべきだろう。
考えてみれば、離岸した直後の全くの凪(なぎ)の状態こそ、いわゆる「嵐の前の静けさ」だったのではないかと思う。普段の生活では風の変化をそれほど感じることもないが、海の上で漂っているヨットの上で、それでいて訓練所の目の前という安全な環境において、全くの無風から暴風雨への急転直下の変化を目の当たりにしたのは、今後ヨットを続けていく上でもなかなか貴重な経験をしたのではないかと思う。セールがきれいな形にふくらみ、ヨットが意思を持って前に走り出す瞬間の興奮も感じることができたし、また来週、再来週各土曜日の講習に期待しよう。
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